エコのそよ風

2007年6月10日
ここひと月の間、メールチェックなどの必要最小限でしかパソコンを使わなかった。

その大きな原因は、マルコとトゥーラの来日。一緒に出かけていたこともあるけれど、彼らと少しでも話がしたい一心で毎日英会話の勉強に時間を割いていたせいだ。

ところが、広東語の時も思ったけど言語習得への道はそう甘くはない。単語カード2冊分の表現方法をひと通り理解して、よっしゃこれでたいていのことなら話せるだろうとタカをくくっていたらやっぱりダメだった。ボキャブラリーの少なさは、一朝一夕でカバーできず。ローマも外国語も1日にして成るわけではないのだ。あな、くやし。英会話習いに行っちゃおうかしら。

それにしても、マルコとトゥーラが来てくれたおかげでたくさんの楽しい経験をしたなぁ。海外で売られている日本のガイドブックには、日本人が知らないようなスポットが盛りだくさんに書いてあるらしい。例えば京都では、地元の人達しか知らない古くから続く銭湯に行った。昨今流行のスーパー銭湯や洒落た日帰り温泉などではなく、そこは私が小学生の頃しょっちゅう行っていたおばあちゃんちの近くの伝統的な銭湯の面影を色濃く残している。壁に富士山の絵こそ書いてないけれど、下駄箱は木の札だし、番台を思わせるカウンターや荷物入れのカゴ、扇風機や体重計、休憩室の欄干に施された見事な透かし彫りなどが古き良き昭和を懐かしく思い出させてくれた。肝心のお風呂は、ちょっと今時を意識してか泡風呂や薬草風呂や電気風呂などがあり、高い天井を見上げると男湯との仕切りになる壁の上部が開いていて、耳を澄ませるとタカとマルコが話しているらしき英語が聞こえてきておかしかった。外に出れば、小さいながらも露天風呂がしつらえてある。総檜風呂もいい香りがして気持ち良かった。

そんな銭湯からポカポカダルダルの体で外に出ると、そこは静かな京都の下町。一瞬、どうして私はこんなところでお風呂から出てきたんだろうという不思議な気持ちになる。帰り道、この辺りには長期滞在用のゲストハウスがいくつかあることに気付いた。なるほど、海外のガイドブックにこの銭湯が紹介されているのはバックパッカーの口コミだったのだ。住み慣れた場所も、外から見ると全く違う表情を見せると言うもの。

そして、マルコとトゥーラに影響されて私が買ったものと言えば・・・。

携帯箸。

彼らの母国フィンランドは、福祉や環境問題についての意識がとても高い。一緒にスーパーに行った時、コーヒーフレッシュが一回分ずつのポーションタイプで売られているのを見てトゥーラが「信じられない」と頭を抱えた。こんな売り方をしたら、大量のゴミが出るじゃないかと。フィンランドでは節水・節電も子供の頃から徹底的にしつけられる。ゆえに、彼らが京都の町を散策していて、とあるお店に入った時に携帯用の箸を見つけて迷わず購入したのは、ごく自然な成り行きだったはずだ。

私も、レストランでバイトした時に、テーブルを片付けながら集めた大量の割り箸に辟易したことが何度もある。大きなポリバケツがたちまち使用済みの箸でいっぱいになって、これが日本中の飲食店で毎日繰り返されているのかと思うと・・・。

先週マルコ達とレストランに行った時、2人がおもむろにかばんから取り出した携帯箸に私は見入った。綺麗で深みのある色をした箸袋から取り出した箸は、ひと目で凝ったものだと判る。あとで調べてみると、それは一本一本が手作り仕上げ。材質は紅木で漆塗りが施してあり、防菌・防水作用が高い。一生愛用して欲しいと願いを込めて作られたこの携帯箸は、もし片方失くしたり箸先が欠けたり漆が剥げたりしたら、修理(有料だけど)もしてくれる。

上の写真はその袋で、お箸は真ん中がねじ式のジョイントになっていてふたつに分かれるから、長さ約10センチくらいになる。持ち歩き安いコンパクトさが素晴らしい!

2人は、初めてお箸を使った時に比べずいぶん上手になったとは言え、まだまだぎこちない手つきで食べ始めた。そして時間をかけて食べ終わり、使った箸の先を紙ナプキンでていねいに拭き、ジョイントを外して箸袋にしまった。それを見ながら自分の割り箸を紙袋に入れてテーブルに置いた私は、ちょっと複雑な気分。そうか・・・マイ箸。持ったらいいかも知れない・・・。

そして今、私のかばんの中にはマルコ達が買ったのと同じこの「八四郎」(ハシロー!)の携帯箸がある。あの日、家に帰ってすぐネットで色々調べたけれど、初めのうちは正直「八四郎」は高くて手が出ないと思っていた。でも、実際に目の前で現物を使っているのを見てしまった私は、他のどの携帯箸も霞んで見えて・・・一晩と一日じっくり悩んだ末、清水の舞台から飛び降りちゃいました!

その、お値段は・・・

箸の材質によって異なるので、こちらをドゾ↓

http://www.hashikyu.com/index.html

私はここで、「楓」のお箸と泥染めの箸袋を買いました♪

こちらにもあります↓

http://www.suzuto.co.jp/hashiro/index.html


普段家で使っているお箸のことを考えると、なかなか手を出しにくい値段・・・。でも実際に手にとって使ってみた結果、これにして良かったと大満足。環境に良いのももちろんだけど、「食べる」ということをとっても大事にすることができるなぁと思った。特に外食となると、ついつい時間に追われたり惰性で食べたりするけれど、こんなマイ箸を使うだけで気分が違ってくる。特にエコに目覚めたというわけではないけれど、これで少しでもゴミを減らせると思うとやはり嬉しい。

そして何よりも、これでマルコ達と対等に外食できる気がするのだ。だってトゥーラなんか、「あなたたちお箸の国の人が、こんないいもの使わないなんて」ってな顔してニッコリ微笑むんだもの。

そんな彼らも、1ヶ月の滞在を終えいよいよ帰国の日が近づいてきた。

明日はマルコ達とタカと私で、しゃぶしゃぶを食べながら最後の夜を過ごす予定。それからそのまま私の家に泊まって、あさっての朝早い便で帰国の途に着く。

しゃぶしゃぶ店で、私がおもむろにかばんから携帯箸を取り出した時の、マルコ達の反応を見るのが楽しみ〜〜!!となると、割り箸を使うのはタカひとりだ・・・。ムフフ。3人でタカを言いくるめて、マイ箸派にしちゃおう!

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