気になる

その、30がらみの男はとにかくうっとうしかった。


私がパソコンをしている隣に座り、ブツブツ何か言っている・・・

最初は無視していたものの、そのよく聞き取れない男の呟きが気になってパソコンに集中できない。つのるイライラ。イライラを押しのけようとして更にイライラする。

するとあろうことか、彼は私の見ている画面を勝手にいじって変えてしまうではないか。もうダメ、我慢ならん！そもそも一体、さっきから何をゴニョゴニョモゴモゴ言い続けとんのじゃ！！


キレた。

今にも胸ぐらに掴みかかる勢いで、怒鳴った。



「何なのアンタ！！やる？やる？やるの？」



・・・・典型的かつ古典的な喧嘩の売り方をしてしまった自分を、冷静に見ているもう一人の自分が引きつった笑みを浮かべている。

烈火のごとく怒りを露わにしている私を真正面から見据えたまま、彼はそれでも何かをつぶやいている。蚊の鳴くような声で、少し戸惑った表情を浮かべながら。



その時、ふと自分の耳に違和感を覚えた私。

手をやると、慣れないスポンジの感触が。



・・・・・？





耳栓だ





・・・・・・即、むしり取る。







　
「わーーーっははははは！！！！ごめん！ごめんね！！こんなものしてたら聞こえないよねぇ〜〜〜！！！」


溜まったフラストレーションが一気に爆笑を呼んだ。結局最後まで誰なのか判らなかった彼も大笑い。しばらく2人で、膝を叩き体を折り曲げ笑い転げていた・・・












そんな、今朝の夢。

そうかも・・・

私、耳栓を外さなくちゃ。