森の中の星
2006年7月17日
1週間があっという間に過ぎて・・・
この週末は、ずっと楽しみにしていた金ホタル鑑賞に行ってきた!
メンバーは去年と全く同じ、タカ・デン君・なっちゃん。そして場所も去年と同じ山奥の神社の境内。
時期が時期だから多少の雨は覚悟の上だったけれど、車での移動中に前もよく見えないほどのどしゃ降りに見舞われた以外は、時々青空が見えるほどだった。さすがデン君、晴れ男。
あれからもう1年が経ったのか・・・
デン君とはこの間会ったけど、なっちゃんとは1年ぶりの再会。去年初めて会った時はお互いに少し緊張ぎみだったけれど、今回はもうすっかり打ち溶け合ってまるで私までみんなと幼なじみだったような感覚になったほど。
駅で待ち合わせをしてスーパーで飲み物やおやつを買い込み、デン君の車で3時間ちょっとのドライブ。
窓外は、ちょっと走っただけでのどかな田舎の風景に変わった。青々とした田んぼも家々の屋根も、遠くなだらかな山の稜線も全てがしっとりと雨に洗われた後で柔らかく瑞々しい。知らないうちにギュッと固くしていた心の一部が、ふわんと緩む。
サービスエリアで休みを取りながら、夏の夕暮れ、山あいの静かな神社のふもとに到着。そこからは駐車場に車を置き、急な坂道を息を切らせながら10分ほど登らなければならない。街灯など無い道の端には、足元を照らす手作りの提灯が今年も置かれてあり、金ホタルの絵が優しい光に浮かび上がっている。
前を行くタカとデン君の背中を見ながらなっちゃんと並んで歩きつつ、今年は一体どうだろうかと思う。
金ホタルを見るのに適した時期は、七夕を挟んだ前後10日間ほどだということ。そう考えるとこの日は時期を過ぎてしまったことになる。台風で数が激減してしまうこともある。とにかく自然界のこと、こればかりは期待して夜を待つことしかできない。
目指す神社の境内に着いた時はまだ空が明るかった。風はピタリと凪いで雨上がりの重い空気が立ち込めていた。ベッタリとまとわりつく汗を拭い一息ついてから、みんなに「お参りしよう」と促して本堂に上がり4人でガランガランと鈴(?)を鳴らして手を合わせた。
振り返ると森の色は薄い青からグレーへと変わり、ひと呼吸ごとに
その明度が落ちていく。既に大勢の人たちが集まって、低く張られたロープの前で一番最初に光る金ホタルを見つけようと立ち尽くしていた。
とても静かだ・・・こんなに人がいるのに。
大きな声で話す人はいないし、前の人の背中を押して無理やり覗き込もうとする人もない。もうすぐ始まる自然の営みを前にして、成す術の無い自分を受け入れているかのようにも見えた。
7時前。
黒く浮かび上がる木の根元の一点が、チカッと光った。
少し離れた場所でもうひとつ、チカッ。
あっちでもこっちでも、チカッチカッ・・・・
飛ばないメスが、下生えの草の間でゆっくりとその存在を示し始めた。あの体の小ささからは想像もできないほど、強く鮮やかな金色の光。耳を澄ませば音が聞こえるんじゃないかと思ってしまうほど鋭い瞬きが、ゆっくりとその数を増やしていく。
ああ・・・・綺麗だぁ・・・・
そして時間を追うごとにどんどん数が増えて、1時間後、木々の陰も全く見えない真っ暗闇になった時、目の前には金色の光が点滅する大きな絨毯が出来上がっていた。去年見た時よりもずっと数が多いと思っていたら、隣にいた常連のおじさん曰くやはり今年は当たり年とのこと。私達、ツイてた。
気がつくとデン君となっちゃんは別の場所に移動したらしく姿が見えない。タカと私は並んでその信じられないような光景をしばらく黙って見ていた。絶え間ない点滅は、時に驚くほど広範囲に渡って完全に同調する。数秒後にはテンポがずれて、まるで夜の滑走路で飛行機を誘導するシグナルのように波打って見える。真っ暗闇で遠近や高低を判断するものが何も見えない中、金色の点が無数に明滅している様はまるで宇宙空間に放り出された気分にさせてくれる。いやもしかして、人知れず森の中に満点の星空が落っこちてきたのかも・・・
そんな妄想に気持ちよく浸っていると、タカが場所を変えてみようと言ったのでようやく人影が見えるくらいの闇の中、手を繋いで本堂の方に行ってみた。するとこっちの方まで飛んできた金ホタルがけっこうたくさんいて、他には誰もいないお堂の影で2人きり、その美しい営みを見守っていた。
タカが、繋いだ手を少し引き寄せた。
金ホタルに囲まれるようにして重ねた唇は、暗闇のせいでその温もりが敏感に伝わってきて、何だか切なかった・・・
それからしばらくして境内の方に戻ると、何とかデン君となっちゃんを発見した。何しろ目の前にいる人の顔が判らないくらいだからお互いの名前を呼び合って確認。こんな経験も年に1度の金ホタル鑑賞会ならでは、ワクワクしちゃう。
その頃には100人以上はいた(気がする)人たちも、徐々に帰っていった。金ホタルももう眠りにつき始めていて点滅する数が減っていたけれど、それでもやはり息をのむ美しさだった。
名残惜しくて、けっきょく係りの人が見回りにくるまで残っていた私達。感動を胸に山道を下るみんなの行く先を示してくれるように、数匹の金ホタルが前を飛んで行った。
また来年、来るよ。ありがとう。
長距離を1人で運転してくれたデン君、優しい気遣いをしてくれたなっちゃんも本当にありがとう。金ホタルもすごく楽しみにしていたけれど、私は2人に会えるのも同じくらい嬉しかったんだ。
そしてタカも・・・ありがとう!
あなたの大切な人たちを、私も大切にしていきたいよ。
この週末は、ずっと楽しみにしていた金ホタル鑑賞に行ってきた!
メンバーは去年と全く同じ、タカ・デン君・なっちゃん。そして場所も去年と同じ山奥の神社の境内。
時期が時期だから多少の雨は覚悟の上だったけれど、車での移動中に前もよく見えないほどのどしゃ降りに見舞われた以外は、時々青空が見えるほどだった。さすがデン君、晴れ男。
あれからもう1年が経ったのか・・・
デン君とはこの間会ったけど、なっちゃんとは1年ぶりの再会。去年初めて会った時はお互いに少し緊張ぎみだったけれど、今回はもうすっかり打ち溶け合ってまるで私までみんなと幼なじみだったような感覚になったほど。
駅で待ち合わせをしてスーパーで飲み物やおやつを買い込み、デン君の車で3時間ちょっとのドライブ。
窓外は、ちょっと走っただけでのどかな田舎の風景に変わった。青々とした田んぼも家々の屋根も、遠くなだらかな山の稜線も全てがしっとりと雨に洗われた後で柔らかく瑞々しい。知らないうちにギュッと固くしていた心の一部が、ふわんと緩む。
サービスエリアで休みを取りながら、夏の夕暮れ、山あいの静かな神社のふもとに到着。そこからは駐車場に車を置き、急な坂道を息を切らせながら10分ほど登らなければならない。街灯など無い道の端には、足元を照らす手作りの提灯が今年も置かれてあり、金ホタルの絵が優しい光に浮かび上がっている。
前を行くタカとデン君の背中を見ながらなっちゃんと並んで歩きつつ、今年は一体どうだろうかと思う。
金ホタルを見るのに適した時期は、七夕を挟んだ前後10日間ほどだということ。そう考えるとこの日は時期を過ぎてしまったことになる。台風で数が激減してしまうこともある。とにかく自然界のこと、こればかりは期待して夜を待つことしかできない。
目指す神社の境内に着いた時はまだ空が明るかった。風はピタリと凪いで雨上がりの重い空気が立ち込めていた。ベッタリとまとわりつく汗を拭い一息ついてから、みんなに「お参りしよう」と促して本堂に上がり4人でガランガランと鈴(?)を鳴らして手を合わせた。
振り返ると森の色は薄い青からグレーへと変わり、ひと呼吸ごとに
その明度が落ちていく。既に大勢の人たちが集まって、低く張られたロープの前で一番最初に光る金ホタルを見つけようと立ち尽くしていた。
とても静かだ・・・こんなに人がいるのに。
大きな声で話す人はいないし、前の人の背中を押して無理やり覗き込もうとする人もない。もうすぐ始まる自然の営みを前にして、成す術の無い自分を受け入れているかのようにも見えた。
7時前。
黒く浮かび上がる木の根元の一点が、チカッと光った。
少し離れた場所でもうひとつ、チカッ。
あっちでもこっちでも、チカッチカッ・・・・
飛ばないメスが、下生えの草の間でゆっくりとその存在を示し始めた。あの体の小ささからは想像もできないほど、強く鮮やかな金色の光。耳を澄ませば音が聞こえるんじゃないかと思ってしまうほど鋭い瞬きが、ゆっくりとその数を増やしていく。
ああ・・・・綺麗だぁ・・・・
そして時間を追うごとにどんどん数が増えて、1時間後、木々の陰も全く見えない真っ暗闇になった時、目の前には金色の光が点滅する大きな絨毯が出来上がっていた。去年見た時よりもずっと数が多いと思っていたら、隣にいた常連のおじさん曰くやはり今年は当たり年とのこと。私達、ツイてた。
気がつくとデン君となっちゃんは別の場所に移動したらしく姿が見えない。タカと私は並んでその信じられないような光景をしばらく黙って見ていた。絶え間ない点滅は、時に驚くほど広範囲に渡って完全に同調する。数秒後にはテンポがずれて、まるで夜の滑走路で飛行機を誘導するシグナルのように波打って見える。真っ暗闇で遠近や高低を判断するものが何も見えない中、金色の点が無数に明滅している様はまるで宇宙空間に放り出された気分にさせてくれる。いやもしかして、人知れず森の中に満点の星空が落っこちてきたのかも・・・
そんな妄想に気持ちよく浸っていると、タカが場所を変えてみようと言ったのでようやく人影が見えるくらいの闇の中、手を繋いで本堂の方に行ってみた。するとこっちの方まで飛んできた金ホタルがけっこうたくさんいて、他には誰もいないお堂の影で2人きり、その美しい営みを見守っていた。
タカが、繋いだ手を少し引き寄せた。
金ホタルに囲まれるようにして重ねた唇は、暗闇のせいでその温もりが敏感に伝わってきて、何だか切なかった・・・
それからしばらくして境内の方に戻ると、何とかデン君となっちゃんを発見した。何しろ目の前にいる人の顔が判らないくらいだからお互いの名前を呼び合って確認。こんな経験も年に1度の金ホタル鑑賞会ならでは、ワクワクしちゃう。
その頃には100人以上はいた(気がする)人たちも、徐々に帰っていった。金ホタルももう眠りにつき始めていて点滅する数が減っていたけれど、それでもやはり息をのむ美しさだった。
名残惜しくて、けっきょく係りの人が見回りにくるまで残っていた私達。感動を胸に山道を下るみんなの行く先を示してくれるように、数匹の金ホタルが前を飛んで行った。
また来年、来るよ。ありがとう。
長距離を1人で運転してくれたデン君、優しい気遣いをしてくれたなっちゃんも本当にありがとう。金ホタルもすごく楽しみにしていたけれど、私は2人に会えるのも同じくらい嬉しかったんだ。
そしてタカも・・・ありがとう!
あなたの大切な人たちを、私も大切にしていきたいよ。
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