小さな願いをひとつずつ
2006年6月11日
タカが忙しい。
学会やらセミナーやらの準備で時間がいくらあっても足りない様子。「週末は缶詰だよ」と言っていた通り、机に向かっていた。
僕が仕事している間テハヌーはどうする?と聞かれ、じゃあ本でも読んでるよと軽く答えるとタカは「クッキーを焼いてくれないかぁ」と言った。
そう言えば彼、以前から口にしていたっけ。
尾崎ユタカの歌に「おいらのためにクッキーを〜焼いてくれぇ〜♪」っていうのがあるらしく、彼女に作ってもらうのが小さな夢(?)だったらしい。
ああそれ、面白いね。久しぶりにお菓子作りでもしてみよっかな。
こんな私でも昔は良く色々なお菓子を作った。アップルパイはけっこう本格的だったし、チーズケーキ、チョコレートケーキ、スフレなんかも楽しかった。既にこの頃生クリームは嫌いだったからやはり作っていない。
そう言えばクッキーも作ったはず・・・だけど何故かあまり記憶に残っていなかった。大して盛り上がらなかったのだろうか?いや違う、これもやっぱり自分はあまり好きじゃないからだ。誰かにプレゼントしたくて作ったのだろう。
よし!俄然やる気になった私。タカの家にはパンを焼くトースターしかないので、ごく簡単なレシピを探してプレーンとココアの2種類を焼いてみることにした。
静かな日曜の午後。
居間ではタカが、パソコンに向かってお仕事中。
私は台所で粉やバターの分量をはかり、泡だて器で根気よく混ぜクッキーの生地を作る。
ときどきふと顔を上げ居間の方を見ると、そこには真剣に仕事をするタカの横顔。気付かれないようにじっと見つめるのが好きだが、たいていはタカもこっちを見てどう?という顔をしたり様子を見に来たり。粉だらけの手で右往左往している私を見るタカの顔は、ふんわりと優しくとても幸せそうだった。
ほどなく、トースターから甘い香りが立ち昇る。
ああ・・・ケーキ屋さんの匂いだ。
焼き上がったクッキー。プレーンとココアが約30枚ずつ。
トースターの火加減が難しくて最初の数枚は焦げてしまった。食べられそうもないくらい真っ黒になったものは捨てるよと言うと、タカは食べるから置いておいてとあっさり止めた。その声の暖かさに触れて、もうとっくの昔に忘れていた、思わず頬が染まるような心臓がキュッと痛むような喜びが体を走り抜けた。
驚くほど簡単に出来上がった、とっても不恰好なクッキーは本当に美味しかった。自分でもびっくりするくらい、何枚も食べた。市販のどのクッキーよりもダントツで美味しく、甘さと食感はこれ以上無いと思えるほどの絶妙なバランスになった。でも特別なものは何も入れていないし、作り方も至ってシンプルで特に工夫もなし。と言うことは、そのレシピがたまたまタカと私の好みにドンピシャだったという訳ですな。いやぁ〜、クッキーの神様が降りて来た。
タカは私に、暖かいミルクを入れて欲しいと頼み、私が用意している間にケースから例の歌が入っているCDを取り出しプレイヤーにセットした。
並んで座り、クッキーを食べながら私はその歌を初めて聞いた。
おいらのためにクッキーを焼いてくれ
暖かいミルクもいれてくれ
「ね、ね。これ、いい歌でしょ?」
むはははは。私は、こんな即席クッキーを作っただけであなたのそんな幸せそうな顔が見れるとは思わなかったよ。男の人って可愛いなぁ〜と、しみじみ感じました。
その後、タカの仕事も順調に進み夕暮れ時。
少しは体を動かした方がいいよともっともらしい理由をつけてタカを説得し、自転車で20分ほどのところにある大きな公園に行ってホタルを見てきた。
そこでは毎年一定の期間だけ、どこからかホタルを捕まえてきて庭園の中に放し飼い(?)にしている。見に行くのは初めて、でもその形態からしてかなりの人出が予想され、あまり期待しないで行ってみた。
そうしたら案の定・・・
ホタルより、人の数の方がずっと多い。
しかも8割が小さな子供を連れた家族。子供騒ぐ、親が叱る、どっかのアホがフラッシュたく、ババァは他人を押しのける、ベビーカーに足を轢かれる・・・
散々でした。
オマケに調子に乗ってクッキーを食べ過ぎたタカは、バターで胃が気持ち悪くなり人ごみで更に悪化し苦しそうでかわいそうだった。
それでも暗闇に光るホタルの淡い緑色を、ずいぶんたくさん見ることができたから満足できた。1時間ほどいて、また自転車を20分こいで家路につき、途中スーパーに寄ってお好み焼きの材料を買って帰って家で焼いて食べた。大満足の美味しさだった。
ホタル・・・源氏ホタルに関しては今年はこれで見納めかも。
あとは来月の金ホタル。去年行った山奥の林で、また会いたいな。
学会やらセミナーやらの準備で時間がいくらあっても足りない様子。「週末は缶詰だよ」と言っていた通り、机に向かっていた。
僕が仕事している間テハヌーはどうする?と聞かれ、じゃあ本でも読んでるよと軽く答えるとタカは「クッキーを焼いてくれないかぁ」と言った。
そう言えば彼、以前から口にしていたっけ。
尾崎ユタカの歌に「おいらのためにクッキーを〜焼いてくれぇ〜♪」っていうのがあるらしく、彼女に作ってもらうのが小さな夢(?)だったらしい。
ああそれ、面白いね。久しぶりにお菓子作りでもしてみよっかな。
こんな私でも昔は良く色々なお菓子を作った。アップルパイはけっこう本格的だったし、チーズケーキ、チョコレートケーキ、スフレなんかも楽しかった。既にこの頃生クリームは嫌いだったからやはり作っていない。
そう言えばクッキーも作ったはず・・・だけど何故かあまり記憶に残っていなかった。大して盛り上がらなかったのだろうか?いや違う、これもやっぱり自分はあまり好きじゃないからだ。誰かにプレゼントしたくて作ったのだろう。
よし!俄然やる気になった私。タカの家にはパンを焼くトースターしかないので、ごく簡単なレシピを探してプレーンとココアの2種類を焼いてみることにした。
静かな日曜の午後。
居間ではタカが、パソコンに向かってお仕事中。
私は台所で粉やバターの分量をはかり、泡だて器で根気よく混ぜクッキーの生地を作る。
ときどきふと顔を上げ居間の方を見ると、そこには真剣に仕事をするタカの横顔。気付かれないようにじっと見つめるのが好きだが、たいていはタカもこっちを見てどう?という顔をしたり様子を見に来たり。粉だらけの手で右往左往している私を見るタカの顔は、ふんわりと優しくとても幸せそうだった。
ほどなく、トースターから甘い香りが立ち昇る。
ああ・・・ケーキ屋さんの匂いだ。
焼き上がったクッキー。プレーンとココアが約30枚ずつ。
トースターの火加減が難しくて最初の数枚は焦げてしまった。食べられそうもないくらい真っ黒になったものは捨てるよと言うと、タカは食べるから置いておいてとあっさり止めた。その声の暖かさに触れて、もうとっくの昔に忘れていた、思わず頬が染まるような心臓がキュッと痛むような喜びが体を走り抜けた。
驚くほど簡単に出来上がった、とっても不恰好なクッキーは本当に美味しかった。自分でもびっくりするくらい、何枚も食べた。市販のどのクッキーよりもダントツで美味しく、甘さと食感はこれ以上無いと思えるほどの絶妙なバランスになった。でも特別なものは何も入れていないし、作り方も至ってシンプルで特に工夫もなし。と言うことは、そのレシピがたまたまタカと私の好みにドンピシャだったという訳ですな。いやぁ〜、クッキーの神様が降りて来た。
タカは私に、暖かいミルクを入れて欲しいと頼み、私が用意している間にケースから例の歌が入っているCDを取り出しプレイヤーにセットした。
並んで座り、クッキーを食べながら私はその歌を初めて聞いた。
おいらのためにクッキーを焼いてくれ
暖かいミルクもいれてくれ
「ね、ね。これ、いい歌でしょ?」
むはははは。私は、こんな即席クッキーを作っただけであなたのそんな幸せそうな顔が見れるとは思わなかったよ。男の人って可愛いなぁ〜と、しみじみ感じました。
その後、タカの仕事も順調に進み夕暮れ時。
少しは体を動かした方がいいよともっともらしい理由をつけてタカを説得し、自転車で20分ほどのところにある大きな公園に行ってホタルを見てきた。
そこでは毎年一定の期間だけ、どこからかホタルを捕まえてきて庭園の中に放し飼い(?)にしている。見に行くのは初めて、でもその形態からしてかなりの人出が予想され、あまり期待しないで行ってみた。
そうしたら案の定・・・
ホタルより、人の数の方がずっと多い。
しかも8割が小さな子供を連れた家族。子供騒ぐ、親が叱る、どっかのアホがフラッシュたく、ババァは他人を押しのける、ベビーカーに足を轢かれる・・・
散々でした。
オマケに調子に乗ってクッキーを食べ過ぎたタカは、バターで胃が気持ち悪くなり人ごみで更に悪化し苦しそうでかわいそうだった。
それでも暗闇に光るホタルの淡い緑色を、ずいぶんたくさん見ることができたから満足できた。1時間ほどいて、また自転車を20分こいで家路につき、途中スーパーに寄ってお好み焼きの材料を買って帰って家で焼いて食べた。大満足の美味しさだった。
ホタル・・・源氏ホタルに関しては今年はこれで見納めかも。
あとは来月の金ホタル。去年行った山奥の林で、また会いたいな。
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