その涙は暖かい

2006年4月10日
はぁ〜〜   ただいま。我が家に戻ってきた。



お風呂から上がって身も心もサッパリ。好きなジャズを聴きながら日記を書くこのひと時が、嬉しいじゃあ〜りませんか。


さっき、家に帰ってくる途中のこと。

もう少しで日付も変わろうかという時間にやっと駅に着いた私は、深夜までやっている駅前のスーパーでパンと野菜ジュースを買って、さて帰ろうと歩き始めた。

すると遠くから、人の泣き声がする。

明らかに子供の声ではない。女の人が、わんわんと声を上げ号泣している。

薄暗い道の先に目を凝らしながら歩いて行くと、道端に大学生くらいの女の子が2人しゃがみ込んでいた。泣いていたのは、そのうちのひとりだった。

通りすがりに、2人の会話が聞こえた・・・

泣いてる子が、「私、私なんか、△☆○(聞き取れず)しなければ良かった」としゃくりあげる。

女友達はその丸い背中を抱きかかえるようにしながら、「そんなことない!そんなことないよ!」と励ます。

私はその横を、歩みを緩めることなく通り過ぎた。側にはだいぶ葉っぱが伸びてきた桜の木が、街灯に照らされてほの白くそよいでいた。

スーパーの袋を片手にぶら下げながら歩きつつ、私はとても懐かしい思いに囚われていた・・・

「ああ〜、私もやったなぁ〜・・・・」



そう、20代前半の頃。

私も同じように街角に座り込み、辺りをはばからず大声で泣いたことがある。理由はもう思い出せないけれど、やはり側には女友達が心配そうに寄り添ってくれていた。

また別の時には、困り果てた彼氏が立ちすくむそばで、声を上げて泣いたこともあった。小さな川にかかる橋の上、その横の国道ではひっきりなしに車が通り過ぎて行った。彼氏に、思いっきり頬を打たれたのであった。どうしてそうなったかは覚えていないが、どうせ私の我侭か根拠の無い言いがかりだろう。


くだんの彼女が、何故夜中に道端に座り込んで号泣しなければならなかったのか知る由もないけれど、確かにあるんだ、そうせずにはいられないって時が。

あんな風に、声を絞り出すように泣く時は、スコールが降る前の空のように、真っ黒い悲しみが体中に広がるのを自分でも感じていながら、どうやっても止められない。

胃の辺りが氷のように冷たくなり、心まで凍り付いてしまう。ついさっきまでみんなと楽しく笑っていた自分が、まるで他人事のように感じられ、膝の力が抜けてゆく。

心配してかけてくれる友達の言葉は、もはやそこまで冷え切った心を溶かすだけの力はない。むしろ北風のように吹き抜けてしまう。

だから、泣くしかないのだ。


子供のように声を上げ、体をふたつに折り曲げて苦しみながら、泣くしかない。




スーパーの袋片手に、彼女から遠ざかる私は心の中でエールを送っていた。



大丈夫。泣けばいいよ。

どんなに泣いても、消えてなくなることはないよ。

泣いて泣いて、泣き尽くしてから


心の深いところに

ぽっと火が灯るからね







それと、

女の子はなんだかんだ言っても大丈夫!強い強い!

ほんとに心配なのは号泣できない男の人。


そんな人全員に、このうっすーーーい胸を貸してあげたいと本気で思った、春の宵。

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